カナダ・ユーコン 2003 夏

9. ビッグエディー・ウッドキャンプ 〜 クレイリー・クリーク


6/26 (木) 曇り一時雨

一面の曇り空。湿度も若干高め、今日は降られるカモ…

例のごとくコーヒーを飲みながら川を眺めていると、ゼッケンを付けたカヤックが何艇も下っていく。
そうだ。昨日から Yukon River Quest Canoe Race が始まっていたのだ。
ホワイトホースからドーソンまで 740km を漕ぐとゆーとんでもない川下りレース。
しかも、トップは 52 時間で漕ぎきってしまうのだ。
白夜だからできるけど…ねぇ?

そんなレースを後目に、こちらはのんびりと朝食。
クリスピー・シリアルにマフィンとフルーツ。今日はクリームチーズベースにする。
昨日の残りのインディアン・ティーも飲む。

今日は林゛さんとペア。
荷物も軽くなってきて軽快に出発。
とは言ってもほとんど漕がないのだが。

しばらく先のクリークの合流点で、レースチームとおぼしき人達が休憩していた。
民族色豊かな大きなカヌーもある。手を振ると答えてくれる。
まったりと流されていくと、両岸ともに視界が開けてくる。
95年の大火事のせいだ。キャンパーの火の不始末が原因らしいが…

ビッグサーモン・ビレッジ

曇り空のため、気分的にノッてこない。
2 時間弱漕いで、ビッグサーモン・ビレッジに上陸。ここもゴールドラッシュ時代の廃村だ。
上陸地点がドロドロで足場が悪い。

リス 可愛すぎ

ひととおり村内を見学。天気のせいもあるが、非常に寒々しく見える。
100年前はこんな場所に人が沢山暮らしていたのか。想像するのはちと難しい。
廃屋の中に地リスが巣を構えていた。
なにかをずっと食べている。カヌーイストの食料のおこぼれかもしれない。

ここにはピクニックテーブルも丸太で作った簡易トイレもあった。
一応、景観に気を遣っているのだろう。
墓地もあるし、ここでキャンプすると何か出そうな気もするなぁ…

出発間際にパラパラ降ってきた。
カッパの下を初めて履く。気温もぐっと下がって荒涼な雰囲気になってしまった。
これもユーコンか。

雨は完全に本降りとなり、寒いのもあって皆黙々と漕ぐ。
川幅が広がり、島が沢山あるので、ルートがわかりづらい。
他のフネと距離が離れないように David が示してくれたショートカット・ルートを行く。

パワーボートが一挺上がってくる。
ユーコンでは初めて見るエンジン付きのフネだ。すごいスピード。
恐らくはレースに関係のあるフネなのだろう。

Voyageur Class のカヌー

右岸にほど近い中洲に上陸。雨は上がったようだ。
ラザニア+ベーコンのランチ。チーズもたっぷり掛ける。
さっきのパワーボートがカヌーを載せて下ってくる。リタイアした選手なのだろう。

民族色豊かな大型カヌーは元気に漕いできた。7 人乗りだ。
フネから「Where are you from?」と声が掛かるので「Japa〜n」と答えると、
後ろで Don が「Whitehorse!」と叫びながら手を激しく振って走っていく。
愉快なおっちゃんだわ。

ここで、右岸にそびえる DUTCH BLUFF という Cut Bank の上まで山登り。
岸までは David と鈴がタクシー係で一人づつ送ってくれる。
おぢさん達も「膝が痛い」とか言いつつも全員参加だ。恐るべし熟年パワー。

DUTCH BLUFF 頂上

一応踏み跡はあるのだが、結構な傾斜だ。
安物の長靴なうえに稜線の左右は崖なので、滑らないように注意が必要。
砂地の崖に動物が開けたのか、奇妙な穴が沢山空いている。

30 分程で山頂に到着。汗をかくまでには至らなかった。
100m ない程度の高さでも川から見る景色とは全然違う!!
ユーコンの曲がりくねった流れ、大地の広がり、昔の川岸(三日月湖はなかったが)、絶景だ。
雨が止んでくれて本当に良かった。少し下には大きなビーバーのような動物。
しばらくのんびり眺めていたかったのだが、皆早々に降りてしまうので、やむなくついていく。

寒いよぉ

一人留守番だった Don がホット・チョコレートを入れてくれた。
冷えた体には非常にありがたい。

まだ距離があるのでフネに乗り込み、ラフト状態で流されながらティータイム。
太刀川さんが出してくれた「スッパイマン梅干し」が妙に美味い。
しかし、向かい風も強くなってきてとても寒い。
フリースも引っぱり出して着れるだけ着込む。

岸辺には史跡が所々に残っているが、特に上陸はせずに流されていく。
前方に立ちはだかる GRADY MOUNTAIN にグリズリーを探すが見あたらず。
この気温ならば活動してそうなものなんだけどなぁ。
火事の影響で生活場所がなくなってしまったのだろうか?

屋根に木が生えた小屋

雲が所々切れてきた。いい傾向だ。
鈴・Yas コンビのフネは2人とも居眠り状態。座礁してしまえ〜
緊急 Piss Stop 後、しばらくして左岸に上陸。キャンプ候補地だ。
一緒に見に行くと、小屋が残っていて屋根から木が生えていた。
恐らくは 100年近くの樹齢と思われる。よくここまで成長したな。

もう少し下の方がいいということで、200m 程下流に移動。
なるほど。こちらの方が開けていて風通しも良くて快適なキャンプ地だ。
最後のキャンプなので、川岸の眺めのいい一等地を真っ先に確保してテントを張った。
薄日も差してきた。いいぞいいぞ。

最後の焚き火

毎夕方、テント場からしていた奇妙な音の原因が判明した。
森山さんがマットに足踏みポンプで空気を入れている音だ。
よくよく見るとマットの厚みが 20cm 近くあって、まるでベッド・クッションだ。

今宵のメニューはスパゲティ・ミートソース。
残った行動食もバンバン食べる。
Katarina が作ってくれた Swedish 風の Hot Grog で最終夜に乾杯!
焚き火が名残惜しそうに燃えていた。

本日の漕行距離: 65 km


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