北海道 ツーリングレポート 2000 夏

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第 8 話 : 完漕


8/16 (水) 快晴

オホーツクの朝焼け

4:10 少し早く目が覚めた。
テントから這い出すと綺麗な朝焼けが見えた。
あと残すところウトロまで数km。特段急ぐ必要もないが、
どうやら鮭の遡上調査が今日あるらしいので、早めに立ち去ろう。

隠れ家とした岩の奥には冷たい泉が湧いている。
そのまま飲みたいトコロだが、やはり煮沸しないと危ない。
カレーうどんを食べて、コーヒーを飲む。


7時少し前。そろそろ出発しようとフネを浜まで出した時、8挺ほどのカヤックの集団が
ウトロ方向から岩尾別に入ってきた。タンデム挺が半分以上だ。
どうやら新谷さんの知床ツアーの人達のようだ。こんなところで出会うとは。
入れ違うように我々も出航。
最後尾を漕いでいたガイドらしき人とルシャおろし等の情報を交わす。

少し沖に出て振り返ると、早くもルシャ谷に大きな雲が掛かっていた。
こりゃ、あの下はたいへんなコトになってるぞ〜
(後から聞いた話では、ツアーの人達は、風が収まるまで8時間も待ったそうだ)

乙女の涙?

対して、こちらの海は今日も穏やか。フネは滑るように進む。
「乙女の涙」「男の涙」の入江に入り、海から見上げる。
上はヒグマが出るようになって立ち入り禁止になっているようだが、
断崖下の浜辺は平和なので、ここでキャンプするのはいいかもしれない。

岩から染み出す小さな滝が各所にあって、上からよりもよく見える。
さながら、縮小版ミルフォード・サウンドのようだ。
カヤックごと突っ込んでいって滝浴びをするのもいとおかし。
大きな洞窟も何個かあって、岩ツバメのコロニーとなっていた。海鵜も居る。


ついにウトロの街が見えてきた!
8時のサイレンが鳴ると、港からは「おーろら号」をはじめとする観光船が一斉に出航してくる。
岸沿いにフネを回避する。岸には釣り人もたくさん居るので中間の距離を取る。

ウトロに到着

8:30 観光船が出尽くしたのを確認し、ウトロ港に上陸。
相泊から約60km。ちと早足だったかもしれないが、
なんとか無事に漕ぎきった。充足感がこみ上げる。
久々の冷えたビールで乾杯!

さて、ウトロに無事に着いたのはいいが、 なんとかして相泊に置きっぱなしのレンタカーを取りに行かねばならない。
バスは昼過ぎまでないのは事前の調査でわかっている。


おいらは初めてのヒッチハイクにチャレンジした。
地図の裏に「ラウス」「相泊」と太マジックで書いてマップケースに入れる。
問題は、汚いカッコの真っ黒に日焼けした30過ぎのおやぢを乗せてくれる人が居るのか?

ウトロの繁華街を抜け、比較的クルマを停めやすい直線に出て紙を上げた途端、
驚いたことにワンボックス車がすぐに停まってくれた。こりゃ入れ食いだ(笑)
「おまえ運転できるか?」
「はぁ?できますが」
「じゃ、羅臼まで運転してってくれ」
おっちゃっん、酔っぱらってるよ〜

体のいい代行運転手にされてしまったのだが、まぁおっちゃんに運転させるよりはいいだろう。
知床峠を駆け抜け、あっという間に羅臼到着。
徹マン明けで、調子のいいおっちゃん、無事に家まで着いたかしら?

羅臼の町外れまで歩いて、再度目的地を書いた紙を上げる。
今度はなかなか停まってくれない。そうそううまくはいかないか。
それにしても陸上は熱いなー。

せいじさんとジェロムさん

…などと思っていたら、黒いレビンが停まってくれた。
なんと助手席にはすでにヒッチハイクの先客が(笑)
独り旅中のせいじさんと在日スイス人のジェロムさんであった。
旅は道連れってね♪

予想より大幅に早く相泊に到着。
カルディナは無事にそこにあったので一安心。
ちょうど昼時になったので、熊の穴で一緒にラーメンを食す。
熊の親父にも一周完了を報告。


乗せてくれたお礼も兼ねて2人にアイスを奢る。どうもありがとね〜
セセキ温泉に一緒に入っていきたいところだったが、
ウトロで待っている2人を思ってすぐに出発した。
霧がかかることが多い知床峠だが、今日は快晴で羅臼岳がめちゃくちゃくっきり見える。

ウトロで炎天下でくたばっていた2人と荷物を回収。
風呂とメシを求めて、斜里方面へ。
途中、女の子のヒッチハイカーが居たが、立っている場所も悪いし、目的地も出していない。
「ふ、まだまだヒッチハイク5級だな」とにわかベテランを気取る。
乗せてあげたいが、カルディナは荷物と人ですでにギュウギュウなのであった。

相変わらず地図無し状態だが、おいらにとっては勝手知ったる道。
清里町の温泉で4日ぶりにシャンプーと石鹸を使い、さっぱりすっきり。
しかし、顔は日焼けでボロボロだ。

ラジオでサザンの茅ヶ崎ライブ特番を聞きながら弟子屈へドライブ。
一昨年も来た「摩周一番館」で3人で制限時間の2時間いっぱい焼き肉を食べ続ける。
いやぁ喰った喰った。おいらは運転手なので飲まなかったが、2人が飲んだ酒の量も半端ではない。
年に数人はこうゆう「食べ放題キラー」が来ちゃうんだろうなぁ…

日もとっぷりと暮れたころ、900草原へ登って、キャンプ場のサイロの脇にテントを張った。
今日はヒグマの心配なく眠れるのだ。
明日は屈斜路湖へ行ってみよう。



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